ホールインワン 2020 9 6
書名 ニュートン式超図解 量子論
出版社 ニュートンプレス
この本は、科学好きの青少年向けの本かと思いましたが、
本の最後のほうになると、高度な理論が紹介されています。
たとえば、物理学の量子論を生物学に適用する話です。
正確に言えば、量子論を分子生物学に適用する「量子生物学」のことです。
なぜ、生物学まで量子論を適用するかというと、
DNAやRNAという分子レベルの化学反応になってしまうと、
やはり、電子の位置や電荷、さらに電荷の偏りまで考える必要があるからです。
電子の日常、つまり電子のふるまいを考えるとなると、
量子論が必要になってきます。
電子のような微小なサイズの世界では、
「量子的な性質」、「量子的な状態」が強くなってしまいます。
つまり、電子は、波でもあり粒子でもあるという状態です。
しかし、観測されると、粒子として収縮するという性質です。
たとえば、電子銃で電子を壁に向けて発射すると、
壁に向かっている途中は、
電子は、波のような状態であり、
壁に衝突すると、粒子になるのです。
つまり、「壁に衝突する」と「観測される」は同じ意味です。
このように、壁という大きな物質に触れると、
なぜ、「量子的な状態」が壊れてしまうのか不思議です。
私たちの日常生活においては、
物質を粒子と考えるほうが、わかりやすいでしょう。
それが物事の基本になっています。
一方、電子のような微小なサイズの世界では、
量子的な状態になっているのが、基本かもしれません。
しかし、観測されたり、大きな物質に触れると、
量子的な状態が壊れしまうというところが不思議でしょう。
さて、前置きが長くなりました。
「渡り鳥」は、不思議ではありませんか。
冬になると、北の大地は寒くなるので、
南の暖かい土地を目指して旅立つ。
しかし、どうやって、方角を知るのでしょうか。
渡り鳥には、地磁気を観測する「生物的なセンサー」があるのでしょうか。
しかし、地磁気は、かなり微弱です。
学校の理科の実験で使う磁石のほうが圧倒的に強力です。
この本によると、「ヨーロッパコマドリ」という渡り鳥が、
地球の磁力を知覚して長距離を正確に移動するに、
「量子もつれ」が関与しているという。
北欧を出発した「ヨーロッパコマドリ」が、
地中海にある「いつもの定宿」にたどり着くのは、
ゴルフのロングホールでホールインワンを狙うより、
難易度が高いかもしれません。
つまり、相当な精度で地磁気を測定する必要があります。
ところで、私は、別の「量子もつれ」を考えてしまいました。
「量子もつれ」の拡張版です。
将来、宇宙旅行が可能になって、
一卵性双生児の兄が木星にいて、弟が地球にいるとします。
木星の兄が突然、激しい歯痛を感じたら、
地球の弟も瞬間的に歯痛を感じた。
地球から木星までは、かなり距離がありますので、
光の速度でも、時間がかかります。
それなのに、弟が瞬間的に歯痛を感じた。
歯痛が光の速度を超えた。
さて、どう考えるのか。
木星の兄と地球の弟は、粒子で考えると、
距離的な問題が発生するので、
木星の兄と地球の弟は、波のようになっていた。
波のようにつながっていた。
あるいは、重なり合っていた。
これならば、距離は関係なくなります。
もちろん、歯痛を引き起こす宇宙線(波)が、
木星と地球に同時に届いていたと考えることもできます。
もしかして、量子もつれ理論を拡張すれば、
隣の銀河の定宿にホールインワンするのも可能かもしれません。
たとえ、数百万光年も離れていても、
量子もつれ拡張論を使えば、「宇宙迷子」にはならないかもしれません。
ただし、「時間迷子」はあるでしょう。
たとえば、1900年1月1日を狙ってタイムスリップをしても、
5年や10年の誤差は発生してしまうでしょう。
「位置」を正確にしてしまうと、
今度は、「時間」が不正確になってしまうかもしれません。
これが、「量子ホールインワン」の難しいところかもしれません。
なんと、「量子生物学」から「SF」になってしまいましたが、
多くの人が「量子論」の議論に参加することを期待しています。
コーヒーや紅茶を飲みながら、
白熱の議論をすれば、大発見があるかもしれません。
量子論を日常的なものとしたいのです。